にほんばしかわら版 令和7年夏季号
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�3.法人版事業承継税制を活用し、一気に贈与する方法律20%の税率で贈与税が課税される制度です。 この制度を選択する場合には、贈与を受けた年の翌年の�月�日から�月��日までの間に一定の書類を添付した「相続時精算課税選択届出書」を提出する必要があります。 なお、一度この制度を選択すると暦年課税に戻ることはできません。 相続時精算課税の贈与 は、暦年課税の贈与と異なり、その名の通り何十年前の贈与であろうとすべての贈与財産につ いて贈与時の価額で相続税の計算に加算して精算する必要があります。 相続税の計算上、加算された贈与財産に対応する贈与税額を相続税額から控除でき、控除しきれなかった贈与税額は還付されます。ここが暦年課税の贈与と異なる部分です。 なお、令和6年1月1日以後の相続時精算課税の贈与につ いては、贈与を受けた年分ごとに相続時精算課税に係る基礎控除額110万円 が設けられ 、1年間に贈与を受けた金額が110万円以下の場合には、贈与税の申告をする必要がありません。 また、令和6年1月1日以後の相続時精算課税の贈与につ いては、将来の相続税の際にも贈与を受けた年分ごとに相 続時精算課 税 に係る基 礎 控 除額110万 円を超えた部分のみ相 続 税の計 算 に加 算すれ ばよいことになりました。ここが暦 年 課 税と異 なりますので、今後は相続時精算課税が主流になるでしょう。 非上場株式の贈与の場合、相続時精算課税を選択すれ ば1年間に行う株の贈与、すなわち「株価×贈与株数」が110万円以下であれ ば、毎年無税で後継者に移転することができます。 また、事 業 承 継した際 に先 代 経 営 者 に退 職 金を支 払 い株 価を下げたうえで、多くの株数を後継者に贈与することも一つの手法 です。将 来 の 相 続 税 の 計 算 上 、加 算される贈 与 財 産 の 価 額は、あくまでも贈与時の価額ですので、株価 が上 がり続けることが 前 提 であ れ ば 低 い価 額 で相 続 税 が 課 税されることになります。 ただし、注意しなけれ ば いけないのは、株価が上がり続けることが前 提ですので、将 来の相 続 時 に贈 与 時よりも株 価 が下 がっていると逆に相続税額が増えることになります。 法人版事業承継税制は、後継者である受贈者・相続人等が非上場会社の株式等を贈与又 は相続等 により取得した場 合 にお いて、その非 上場 株式 等 に係る贈 与 税・相 続税 について、その納税が猶予される納税猶予制度です。 「一般措置」と「特例措置」がありますが、適用要件が緩和されている「特例措置」の方が使い勝手が良いです。 今回は生前対策とのことですので、「特例措置」の贈与に限定して概要を説明します。 なお、「特例措置」は、令和9年12月31日までの贈与に限って適用できます。(�)株式を贈与する事前 に会社の後継者 や承継時までの経営見通し等を記載した「特例 承 継 計 画」を会 社 が策 定し、認 定 経 営 革 新 等 支 援 機 関(税 理 士、商 工 会、商 工 会議所等)の所見を記載の上、令和8年3月31日までに都道府県知事 に提出し、その確認を受ける必要 があります。期限 があるものですので、実際 に法人版事業承継税制を適用するかどうかは別にして、適用を検討している段階で早目に提出すべきです。

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